試用期間

試用期間とは

試用期間とは、労働者を本格的に採用する前に、労働者の能力や適性などを判断するために、試験的に使用する期間のことをいいます。そして、能力や適性があると使用者が認めた場合は、試用期間終了後に本採用になります。

試用期間の自由設定

試用期間は法律で義務付けられているようなものではありません。したがって、設けるか否か、期間、その間の労働条件、本採用の決定基準、試用期間の延長などは、労使が任意で決定できます。

ただし、それらの内容は、公序良俗(民法90条)に反するものであってはならず、例えば、試用期間が著しく長期であるなど合理的な根拠のないものは無効とされることがあります。一般的には試用期間の長さは3ヶ月程度が最も多いとされていますが、近年は短期雇用制度が増加したこともあり、試用期間も短縮される傾向にあります。

本採用を拒否する場合

本採用を拒否することにした場合、法律上は「解雇」になります。本採用の拒否が解雇である以上、その解雇が有効となるためには、合理的な理由と社会通念上の相当性が必要となります。つまり、試用期間中であっても解雇の正当性が問われることになってしまいます。

事業主さんの中には試用期間中の場合は「解雇」と考えていない方もおられますが、法律上は通常の解雇とあまり変わりません。試用期間中でも入社して14日を超えている場合は、労働基準法上の解雇予告の手続きが必要です。

本採用を拒否する場合に、使用者が注意しておくべき事項としましては、主に以下のようになります。

  • 採用時に労働者に対して、試用期間の設定及び試用期間中の労働条件を明示すること
  • 試用期間開始前に労働者に対して、本採用拒否の場合の理由を説明すること
  • 試用期間中の労働者の能力・適性を客観的・合理的に判断すること
  • 試用期間中に労働者に対して、必要な教育・指導を行うこと
  • 本採用を拒否する場合には、労働者に拒否の理由を説明すること

などが考えられます。

また、試用期間中の解雇についても、試用期間中であれば簡単にいつでも解雇できるというわけではないことに注意してください。即時解雇が認められているのは、試用期間中に雇入れから14日以内の期間に限られており、その後は30日の解雇予告や解雇予告手当の支払が必要になります。

解雇の理由も、本採用後よりは試用期間中のほうがの解雇要件は緩やかと考えられていますが、どの程度解雇しやすくなるのかを明確に区分することは実際上困難です。

例えば勤務態度が悪く、指導しても改善されない場合や、出勤率が悪い、無断欠勤が多いなどの場合、会社に対して著しい損害を与えた場合など、解雇するだけの正当な理由が必要になります。加えて、きちんと教育しても改善が見られないという事実も求められるようです。

以上のことから、会社が試用期間中の社員を解雇または、本採用拒否するにあたっても、慎重な対応が必要であると考えられます。

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