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派遣の労務管理実務集

労働者派遣禁止業務とは

労働者派遣はどのような業種にでも行うことが出来るわけではなく、派遣法等により、行うことが出来ない業務として、下記の通り列挙されています。

1.港湾運送業務
2.建設業務
3.警備業務
4.病院等の医療機関における医療関係業務(※社会福祉施設等、及び紹介予定派遣による場合は派遣を行うことができます。)
5.派遣先での団体交渉や労使協議に使用者側の当事者として行う業務
6.弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、行政書士、社会保険労務士の有資格者が行う業務
7.建築士事務所の管理建築士の業務

派遣労働者を特定する行為の禁止

派遣法では、派遣先が派遣労働者について履歴書を提出させたり、事前に面接をするなどして派遣労働者を特定する行為を禁じています。つまり、派遣先は派遣労働者を選ぶことはできないことになっています。
派遣先は、事前に派遣元に対して、どのような人材が必要かを具体的に伝えておく必要があります。
ただし、年齢や性別を限定したり、前に派遣されていた派遣労働者を指名することなども特定する行為に該当するので、注意が必要です。

※派遣労働者が自主的に行う事業所訪問や履歴書送付は特定行為に該当しません。

派遣の受入れ期間(26業務、自由化業務)

(1)期間に制限のない業務

  • 政令26業務(下記参照してください)
  • 有期プロジェクト業務 (期間内に限り制限なし)
  • 日数限定業務 (その業務の1ヶ月間に行われる日数が、派遣先の通常労働者の所定労働日数の半分以下かつ10日以下の業務など)
  • 産前産後・育児・介護休業取得者の代替業務

<政令26業務>

1号 情報処理システム開発 14号 建築物清掃
2号 機械設計 15号 建築設備運転等
3号 放送機器操作 16号 受付、案内、駐車場管理等
4号 放送番組等制作 17号 研究開発
5号 事務用機器操作 18号 事業の実施体制の企画、立案
6号 通訳、翻訳、速記 19号 書籍等の制作、編集
7号 秘書 20号 広告デザイン
8号 ファイリング 21号 インテリアコーディネーター
9号 調査 22号 アナウンサー
10号 財務処理 23号 OAインストラクター
11号 貿易(取引文書作成) 24号 テレマーケティングの営業
12号 デモンストレーション 25号 セールスエンジニア、金融商品の営業
13号 添乗 26号 放送番組等の大道具、小道具

(2)期間に制限のある業務・・・上記(1)以外の業務は最大でも3年までの制限があります。(※)

※1年を超える派遣を受けようとする場合は、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合がない場合は、労働者の過半数代表者)に対し、派遣を受けようとする業務、期間及び開始予定時期を通知し、十分な考慮期間を設けた上で意見聴取することが必要です。

抵触日の通知

派遣先が派遣受入期間に制限がある業務に派遣労働者を受け入れようとする場合は、あらかじめ、派遣元に対して、派遣受入期間の制限に抵触する日を通知しなければなりません。

この派遣受入れ期間の制限は「事業所その他就業の場所ごとの同一の業務」について継続して派遣する場合に該当することになり、たとえ、派遣労働者や派遣元を変えたとしても、その『同一の業務』に対して継続して派遣を受け入れているならば、それらを通算した期間が期間の制限に抵触してはならないことになります。

ところが、派遣元は自社の派遣労働者を派遣する前に、別の派遣元から派遣があったかどうかを独自に知ることができないので、派遣先の方が制限期間を管理しておく必要がでてきます。

派遣先が「自由化業務」について新たな人材派遣を受けようとするときは、派遣契約を締結するに当たり、この業務について、派遣受入期間の制限に抵触する日をあらかじめ派遣元に通知しなければなりません。

なお、派遣開始後に、派遣先が派遣可能期間を変更したときは、派遣先は、派遣元に対し、変更後の派遣受入期間抵触日を通知することが必要となります。

この通知は、書面、電子メールあるいはファクシミリによることとされています。

なお、派遣元はこの通知がない場合には当該業務にかかる派遣契約を締結してはならないとされています。

複合業務の派遣受入れ期間の考え方

ファイリングや、OA操作など、政令26業務と呼ばれる専門業務には派遣期間の制限がありません。一方、これら26業務以外の業務の期間制限は1年~3年とされています。

複合業務とは、前述の26業務とそれ以外の業務の両方を行う業務のことを言います。

それでは、複合業務の期間制限はどうなるのかということになりますが、この場合、26業務以外の業務の割合が通常の1日当 たり、又は1週間当たりの就業時間数の1割を超えている場合には、26業務以外の業務の期間制限が適用されることになります。

例を挙げますと、同じ職場に社員AさんとOA操作で派遣されている派遣社員Bさんが働いており、Aさんが退職してしまったので、派遣社員であるBさんに、Aさんがやっていた26業務以外の業務を少し依頼した。そして、その業務がBさんの仕事の1割を超えてしまった場合、26業務で契約されていたとしても、期間制限が適用されることになり、派遣先に直接雇用の申し込みの義務が発生します。

就業の場所ごとの同一業務の考え方

労働者派遣契約を更新して引き続き当該労働者派遣契約に定める業務に従事する場合のほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなします。

この場合における最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者(つまり、「上司」と「部下」)とのまとまりのうち最小単位のものをいい、係又は班のほか、課、グループ等が該当する場合もあり、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものとされています。

派遣契約書を締結する際に、広範な『派遣就業場所』を指定したり、より上位の指揮命令者を『派遣指揮命令者』に指定することは『同一業務』が広く認定され、今後の派遣労働者の受入れに影響が出る場合も考えられます。

なお、26業務の派遣では、この最小単位ではなく「派遣先の事業所等(課、部、事業所全体等)において行われる業務のうち同種のもの」を同一業務と判断するとされており、号番号で区別されます。

直接雇用の申し込み義務

派遣先は、政令26業務以外の派遣受け入れ期間に制限のある業務に、抵触日以降も派遣労働者を使用しようとするときは、派遣の終了日までに、自社に直接雇用する雇用契約の申込みをしなければらないないとされています。

また、政令26業務は派遣受け入れ期間の制限のない業務ではありますが、同じ業務に同じ派遣労働者を3年を超えて受け入れている場合に、その同じ業務に就かせるために新たに労働者を雇い入れようとする場合も同様に、自社に直接雇用する雇用契約の申込みをしなければらないないとされている点は、気づいていない事業所が多いように思いますので、注意が必要です。

ただし、法的には「直接雇用の申し込みの義務」となっています。『直接雇用』には、正社員・パートタイマー・期間契約社員などの種別は特定されていません。また、『申し込みの義務 』であって、雇用の義務ではありません。

もし,提示した労働条件を派遣労働者が承諾しない場合は,直接雇用契約は成立しませんが,派遣先は申込みをしているので義務は履行したことになります。派遣労働者が承諾するような労働条件を提示することまでは求められていません(ただし,同様の業務に就いている他の労働者と比べて,明らかに低い労働条件を提示したような場合は,義務を履行したことにはならないでしょう)。

派遣契約の途中解除について気をつける点

派遣先が派遣先の起因する事由によって派遣契約を期間の途中で解除するときは、少なくとも30日前には派遣元に対し申し入れを行うこと、それが不可能な場合は、30日分以上の賃金相当額の損害賠償を派遣元に行うこと、そして、派遣元事業主から請求があったときはその理由を明らかにすること、などが決められています。

なお、派遣労働者の人種、国籍、信条、性別、社会的身分、労働組合への加入、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことなどを理由とする派遣契約の解除は禁止されています。

一方、派遣元におきましては、派遣先との派遣契約が中途解除された場合であっても、当該派遣労働者とは、雇用契約期間が残っています。

この場合、派遣元事業主は労働基準法等に基づく責任を果たす必要があります。すなわち、他の派遣就業先を探す努力をし、見つからない場合にやむを得ず休業させる場合は、休業手当として平均賃金の60%以上を派遣労働者へ支払わなければなりません。
また、派遣労働者を解雇せざるを得ない場合は、30日前に予告を行うかまたは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当ての支払いが必要です。

なお、使用者の解雇権の行使は、「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することが出来ない場合には、解雇権の濫用として無効(解雇権濫用法理)」になりますので注意が必要です。

派遣契約

派遣契約に際して最低限以下の内容を書面に記載する必要があります。

(1)派遣労働者が従事する業務の内容
政令26業務については、当該業務の号番号を付すことになっています。

(2)就業場所(名称・所在地)
所属部署、電話番号等、派遣元が派遣労働者と連絡が取れる程度の内容であること。ただし、派遣先の直接雇用申し込み義務が関係してくる場合は、『就業場所ごとの同一業務』であることが求められていますので、当該派遣労働者の所属する最小単位の組織を記載しておいた方が、負担が少なくなる場合がありますので十分考慮してください。

(3)指揮命令者に関する事項
就業場所ごとの同一業務の判断要素として、指揮命令者が同一であるかどうかという点も考慮されます。上記(2)のただし書き以降の場合、当該最小単位の組織の長の役職氏名を記載しておく方が無難であると思います。

(4)派遣期間、就業日

(5)始業・終業時刻、休憩時間

(6)安全・衛生に関する事項

(7)派遣労働者からの苦情処理に関する事項

(8)派遣契約の解除時における雇用安定のための措置

(9)派遣元・派遣先の責任者に関する事項

(10)時間外労働、休日労働に関する事項
派遣元が36協定を締結しておかなければなりません。

(11)派遣労働者の福祉増進のための便宜供与に関する事項

(12)派遣労働者の人数

(13)派遣期間の制限を受けない業務、製造業務への労働者派遣に関する事項

派遣先管理台帳

派遣先は、派遣就業に関して派遣労働者ごとに派遣先管理台帳を作成し、次に掲げる事項を記載しなければなりません。 また、派遣先は派遣労働者の氏名及び就業実績について1ヶ月に1回以上、一定の期日を決めて派遣元へ通知することが義務付けられています。(通知方法は、書面の交付に加え、FAX,電子メールによる送信も可能です。)

(1)派遣労働者の氏名
(2)派遣元事業主の名称・所在地
(3)派遣就業をした日
(4)派遣就業をした日毎の始業及び終業の時刻並びに休憩した時間(実績)
(5)従事した業務の種類
(6)苦情処理に関する事項
(7)紹介予定派遣にかかる労働者については、紹介予定派遣に関する事項
(8)派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
(9)政令26業務及び中高年齢者特例措置の対象となる派遣に関する事項
(10)派遣労働者に係る社会保険、雇用保険の資格取得届提出の有無
(11)その他厚生労働省令で定める事項

なお、派遣先管理台帳は派遣終了の日から3年間保存しなければなりません。

派遣元管理台帳

派遣元は、事業所毎に派遣元管理台帳を作成し、次に掲げる事項を記載しなければなりません。ただし、実際は管理の都合上、派遣労働者ごとに作成する必要が有ります。 また、派遣元管理台帳は労働者名簿、賃金台帳と合わせて作成することも出来ます。

(1)派遣労働者の氏名
(2)派遣先の名称と事業所名
(3)派遣先事業所の所在地、及び派遣就業場所
(4)従事する業務の種類
(5)派遣期間、及び派遣就業日
(6)所定の始業・終業時刻、休憩時間
(7)所定就業時間を超える延長時間、所定就業日以外に就業させる日
(8)申出を受けた苦情の処理に関する事項
(9)派遣元責任者
(10)派遣先責任者の氏名・部署・連絡先など
(11)雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況(未加入の場合はその理由)
(12)安全衛生に関する事項
(13)特定の26業務での派遣の場合はその業務の号番号
(14)育児休業等の代替派遣の場合は休業する労働者に関する事項
(15)就業日数限定派遣の場合は1ヶ月間の就業日数とその派遣先の所定労働日数
(16)有期プロジェクト派遣の場合はその旨
(17)紹介予定派遣の場合はその紹介予定派遣に関する事項

なお、派遣元管理台帳は派遣終了の日から3年間保存しなければなりません

その他注意するべき点は下記PDFをご参照くださいませ。

ご依頼は渡辺彰労務管理事務所まで

兵庫県姫路市北条永良町187-202
TEL:079-286-8195      FAX:079-286-8196

特定社会保険労務士とは

紛争解決手続代理業務試験」に合格し、使用者と労働者間の労働トラブルに対し、労働局の紛争調整委員会や県の労働委員会等の場において行われる「裁判外の紛争解決手段(ADR)」のあっせん代理権(国家資格者)を持つ社会保険労務士のことです。

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