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事務所通信2018年5月号

【TOPICS】 働き方改革関連法案を閣議決定 国会に法案提出

政府は、平成30年4月6日、今国会(第196回通常国会)の最重要法案と位置づけている「働き方改革関連法案(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)」を閣議決定しました。これでようやく、同法案が国会に提出されました。法案作成の詰めの段階で、裁量労働制の適用の拡大の削除、施行を目指す期日の見直しなどが行われています。概要を確認しておきましょう。

働き方改革関連法案(第196回通常国会に提出)の概要

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要(厚生労働省資料)

労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を統合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。

I 働き方改革の総合的かつ継続的な推進

働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)

II 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
1 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)
  • ・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
    (※)自動車運転業務、建設業務、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導を設けた上で、適用除外。
  • ・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
  • ・高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)
  • ・労働者の健康確保措置の実効性を確保する観点から、労働時間の状況を省令で定める方法により把握しなければならないこととする。(労働安全衛生法の改正)
2 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
  • ・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時間の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
3 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
  • ・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
III 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
1 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇、(2)一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。 (※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等

2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。

3 行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

施行期日 I:公布日
II:平成31年4月1日(中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日、1の中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年4月1日)
III:平成32年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は平成33年4月1日)

★ この改正の目玉は、何といっても「時間外労働の上限規制(Ⅱの1の一部)」でしょう。時間外労働の上限規制は、各企業にとって負担が大きいものです。そのため、一部の業種については適用を猶予し、また、中小企業については施行期日が1年遅れとなっています。しかし、一般的な業種の大企業では、来年4月から対応を迫られることになります(もちろん、法案が予定どおりに成立した場合です)。「同一労働同一賃金の実現に向けた改正(Ⅲ)」についても注目されていますが、これについては、大企業・中小企業ともに、施行期日に余裕が設けられています。他の規定については、企業規模を問わず、来年4月から施行されるものが大半となっています(もちろん、法案が予定どおりに成立した場合です)。

★ 細かな規定に目を向けると、一定日数の年次有給休暇の確実な取得(使用者は、10日以上の年休が付与される労働者に対し、5日については、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする)など、企業への影響が大きい内容が含まれています。法案が成立した場合した場合、企業規模を問わず、平成31年4月1日施行される規定が大半となっていますので、国会での審議の動向から目が離せません。

【TOPICS】「時間外労働等改善助成金」創設中小企業の時間外労働の上限規制等への円滑な対応を支援

これまでの職場意識改善助成金が改称・拡充され、「時間外労働等改善助成金」が創設されました。この助成金は、中小企業が時間外労働の上限規制等に円滑に対応するため、生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む事業主を助成するもので、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的としています。概要は次のとおりです。

時間外労働等改善助成金の概要

対象事業主
労災保険の適用事業である一定の中小企業事業主(コースによって他の条件も満たす必要があります)

コース 概要 助成額
時間外労働
上限設定コース
時間外労働の上限設定を行うことを目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して、その経費の一部を助成 (1) 助成率3/4(事業規模30名以下かつ一定の機器・ソフトウェア等の導入経費が30万円を超える場合は4/5を助成)
(2) 上限額
対象となる事業主が平成30年度(又は平成31年度)に有効な36協定において、時間外労働の上限を月45時間以下、年間360時間以下に設定した場合は、上限額150万円など
〈補足〉さらに、週休2日制とした場合に上限額を加算(助成金の合計は200万円まで)
勤務間
インターバル
導入コース
勤務間インターバル制度を導入することを目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して、その経費の一部を助成 (1) 助成率3/4(事業規模30名以下かつ一定の機器・ソフトウェア等の導入経費が30万円を超える場合は4/5を助成)
(2) 上限額
インターバル時間数等に応じて、
[1]9時間以上11時間未満 40万円 [2]11時間以上 50万円 など
職場意識改善
コース
所定労働時間の削減、年次有給休暇取得促進に取り組むこと等を目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して、その経費の一部を助成 (1) 助成率3/4(事業規模30名以下かつ一定の機器・ソフトウェア等の導入経費が30万円を超える場合は4/5を助成)
(2) 上限額
【年次有給休暇の取得促進、所定外労働時間の削減を取組む場合】
[1]労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数(年休取得日数)を4日以上増加
[2]労働者の月間平均所定外労働時間数(所定外労働時間数)を5時間以上削減 100万円
※年次有給休暇の平均取得日数を12日以上増加させた場合は上限額50万円を加算する。
【特例措置対象事業主】
週所定労働時間を2時間以上短縮し40時間以下とする 50万円
テレワークコース 在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対してその経費を助成 助成額は省略
団体推進コース 3社以上で組織する中小企業の事業主団体において、傘下企業の労働時間短縮や賃金引上げに向けた生産性向上に資する取組に対して、その経費を助成

★ 平成30年5月以降は、雇用保険被保険者資格取得届などのマイナンバーの記載が必要な届出等について、マイナンバーの記載がない場合には、返戻する場合があるとのことです。不明点があれば、気軽にお尋ねください。

お仕事カレンダー 5月

5/10

一括有期事業開始届の提出(建設業)
主な対象事業:概算保険料160万円未満で、かつ請負金額が1億8,000万円未満の工事

4月分の源泉所得税、住民税特別徴収税の納付

5/15

障害者雇用納付金の申告と納付期限

5/31

4月分健康保険料・厚生年金保険料の納付

自動車税の納付(条例で定める日まで)

3月決算法人の確定申告と納税・9月決算法人の中間申告と納税(決算応当日まで)

6月・9月・12月決算法人の消費税の中間申告(決算応当日まで)

特定社会保険労務士とは

紛争解決手続代理業務試験」に合格し、使用者と労働者間の労働トラブルに対し、労働局の紛争調整委員会や県の労働委員会等の場において行われる「裁判外の紛争解決手段(ADR)」のあっせん代理権(国家資格者)を持つ社会保険労務士のことです。

サービス提供地域

神戸市・明石市・播磨町・加古川市・高砂市・姫路市・太子町・たつの市・相生市・赤穂市・宍粟市・神崎郡・朝来市・加西市・西脇市・加東市  ほか周辺市町