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事務所便り|2011年5月号

《トピックス》 大震災の影響で労働者を休業させたら、どうなる?

労働基準法では、「使用者の責めに帰すべき事由」によって従業員を休業させた場合、1日につき平均賃金の60%以上の休業手当を支払わないといけない、ということになっています。
では今回の東日本大震災による、直接・間接的な被害が理由の休業については、「休業手当」の支払は必要なのでしょうか?判断のポイントを解説します。

事業場の施設・設備が直接的な被害を受け労働者を休業させた場合

直接的な被害を受けた場合には、休業の原因が「事業主の関与の範囲外」のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故に該当すると考えられますので、原則として「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当せず、休業手当を支払わなくても違法ではないと考えられます。

原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休業させた場合

地震で、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休業させた場合は、原則として「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当の支払いが必要と考えられます。
ただし、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、休業手当の支払が必要ないと判断されることもあります。個別のケースについては、ご相談下さい。

〈計画停電時の休業は?〉
計画停電の時間帯は、原則、休業させても「休業手当を支払う必要がない」という通達が厚生労働省から出ています。

たとえば、(1)は通常勤務にし、(2)は計画停電のために休業させ、(3)も休業させた場合はどうなるでしょう?

(1)

通常の賃金支払義務(実際に働いた部分については、当然、賃金支払の義務があります)

(2)

原則、使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しない
→ つまり、休業手当を支払う必要はない

(3)

原則、使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当する
→ つまり、休業手当を支払う必要がある

 

と、なります。
ただし、(3)につきましては、(2)のみ休業させ、(3)で勤務させることが難しい工場のラインなどでは、(3)の部分も「休業手当の支払が必要ない」時間になります。個別のケースについては、ご相談下さい。

休業手当の支払が必要かどうかの判断には、色々な要件がありますので、ご不明点はお問い合わせください。 要件を満たせば、休業手当を支払うことによりもらえる助成金もあります。

最新情報》 高齢者助成金の取扱いが一部改正されました

平成23年4月1日から高齢者雇用関連の助成金(定年引上げ等奨励金)の取扱いが一部改正されました。その概要をご紹介します。

高年齢者雇用モデル企業助成金(廃止)

高年齢者雇用モデル企業助成金は廃止されました。
ただし平成22年度末までに、職域拡大等計画を申請している場合は、いままでどおり「高年齢者雇用モデル企業助成金」を受けられます。

中小企業定年引上げ等奨励金(改正)

平成22年度末をもって、「65歳安定継続雇用制度」の導入事業主に対する奨励金が廃止され、代わりに、4月1日より、「希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満の継続雇用制度」を導入する事業主も新たに奨励金の支給対象になりました。
つまり、今までは、「希望者全員を対象とする65歳まで契約期間の切れない継続雇用制度」を導入する必要があったのですが、今後は、たとえば1年ごとであっても、最終的に65歳以上まで継続雇用が可能になれば、助成金の対象になります。

〈改正後の支給対象事業主〉
次のいずれかの措置を講じ、6か月以上経過している中小企業事業主(雇用保険の被保険者数が300人以下の事業主)が対象になります。

(1) 60歳以上65歳未満の定年を定めている事業主
1. 65歳以上への定年の引上げ
2. 定年の定めの廃止
3. 希望者全員を対象とする65歳以上まで継続雇用制度の導入
(2) 65歳以上70歳未満の定年を定めている事業主
1. 70歳以上への定年の引上げ
2. 定年の定めの廃止
3. 希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入

※実施した措置の内容及び企業規模に応じ一定の額が支給されます。

高年齢者職域拡大等助成金(新設)

「希望者全員が65歳まで働ける制度」か「70歳まで働ける制度」の導入にあわせて、高年齢者の新たな職域拡大や雇用管理制度の構築に取組み、高年齢者が働き続けることができる職場の整備を行った場合、その取組みの実施に要した費用の3分の1に相当する額(500万円を上限)が支給されます。

平成23年4月からの労働保険・社会保険

労働保険・社会保険について、平成23年度における負担と給付に着目してみます。

労働保険料

平成23年度の労災保険率は、前年度から変更なし ……0.3%〔卸売・小売業は0.4%ほか〕
平成23年度の雇用保険率も、前年度から変更なし ……1.55%〔農林水産業は1.75%ほか〕

〈確認〉
労働保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、事業主は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付する必要があります。これを「年度更新」といい、原則として例年6月1日から7月10日(平成23年度については7月11日)までの間に、労働基準監督署、都道府県労働局及び金融機関で手続を行うことになります。 労働保険料の額は、原則として、4月1日から翌年3月31日までに支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)をかけた額となります。

※ 算定対象期間
・平成22年度確定保険料…平成22年4月1日~平成23年3月31日
・平成23年度概算保険料…平成23年4月1日から平成24年3月31日

社会保険料

健康保険の保険料率は、協会けんぽにおいては、全国平均で0.13%の引き上げ
注.組合健保においては、組合ごとに定められている。 厚生年金保険の保険料率は、平成23年8月分までは、16.058%

〈確認〉
社会保険料は、毎月計算し、翌月末日までに年金事務所に納付する必要があります。社会保険料の額は、標準報酬月額に保険料率をかけた額となります(ポーナス月には、別途、標準賞与額に保険料率を乗じて得た額を計算し、翌月末日までに納付)。

公的年金額

平成23年度の年金額は0.4%の引き下げとなります(4月分が支払われる6月の支払から、額を変更)。

  平成22年度 平成23年度
国民年金
[老齢基礎年金(満額):1人分]
月額66,008円 月額65,741円
(▲267円)
厚生年金
[夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額]
月額232,592円 月額231,648円
(▲944円)

※厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準

在職老齢年金の支給停止の基準額である「47万円」を「46万円」に改定。なお、「28万円」は据え置き。

〈確認〉
老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者である場合には、年金額と賃金との合計額が一定の基準額を超えた場合には、年金額の全部又は一部を支給停止することとなっています(在職老齢年金制度)。

【在職老齢年金制度の基本的な仕組み】(平成23年度の場合)

(60歳~64歳の方)

賃金(ボーナス込み月収)と老齢厚生年金の合計額が28万円を上回る場合は、賃金の増加2に対し、年金額1を停止

賃金が46万円を超える場合は、賃金が増加した分だけ老齢厚生年金を停止
(65歳以上の方)

賃金(ボーナス込み月収)と老齢厚生年金(報酬比例部分)の合計額が46万円を上回る場合には、賃金の増加2に対し、年金額1を停止

 

特定社会保険労務士とは

紛争解決手続代理業務試験」に合格し、使用者と労働者間の労働トラブルに対し、労働局の紛争調整委員会や県の労働委員会等の場において行われる「裁判外の紛争解決手段(ADR)」のあっせん代理権(国家資格者)を持つ社会保険労務士のことです。

サービス提供地域

神戸市・明石市・播磨町・加古川市・高砂市・姫路市・太子町・たつの市・相生市・赤穂市・宍粟市・神崎郡・朝来市・加西市・西脇市・加東市  ほか周辺市町