事務所便り|2009年11月号
《注目トピックス》新型インフルエンザの流行が懸念されます。
社員を休業させたとき、休業手当は必要でしょうか?
冬に向かい、新型インフルエンザの流行が予想されます。御社の備えは万全でしょうか?
マスクや消毒液の常備も必要ですが、いざ、社員や社員の家族に新型インフルエンザにかかった人が出た場合、会社を休むかどうかは、個人の判断に任せますか? それとも会社の判断で自宅待機を命じますか?
その場合の賃金の支払の有無も含めて、今からしっかり取り決めをしておくことが大切です。
社員を休業させたとき、他の会社は賃金を支払っているの?
新聞の情報によりますと、感染した従業員に自宅待機を命じた際の賃金に関するアンケートを取ったところ、
- 「通常通り支払う」(33.1%)
- 「未定」(27.2%)
- 「賃金、休業手当は支払わない」(22.2%)
- 「休業手当のみ支払う」(8.6%)
という結果になったということです。
法律で定められている「休業手当」とは?
新型インフルエンザに限らず、例えば不況で仕事がないから社員を休業させるなど、会社の都合で社員を休業させる場合には、「休業手当」として、平均賃金の60パーセントを支払わなくてはいけません。
どんなときに「休業手当」を支払わなくてはいけないのか?
●社員本人が新型インフルエンザにかかった場合
| ○支払の義務なし | 医師などの指導により社員が休業する場合 体調不良などで本人が自主的に休む場合 |
| ×支払の義務あり | 医師や保健所による指導の範囲を超えて社員を休ませる場合 (外出自粛期間を超えて休業を命じた場合など) |
●社員が熱を出した場合(新型インフルエンザかどうか不明な場合)
| ○支払の義務なし | 体調不良などで本人が自主的に休む場合 |
| ×支払の義務あり | 「37度以上の熱がある場合は自宅待機とする」など、一律の措置を取る場合 →感染が疑われる場合は、一律に年次有給休暇を取得させ、休ませるという取り扱いはやめましょう。年次有給休暇は、社員の「請求」によって与えられるものです。 |
●感染者と近くで仕事をしていた社員を休ませる場合
| ○支払の義務なし | 濃厚接触者であるなど、保健所による協力要請により社員を休業させる場合 |
| ×支払の義務あり | 保健所の要請を超えて休業させる場合、会社の自主的判断で休業させる場合 |
●家族が感染した社員を休ませる場合
| ○支払の義務なし | 濃厚接触者であるなど、保健所による協力要請により社員を休業させる場合 |
| ×支払の義務あり | 保健所の要請を超えて休業させる場合、会社の自主的判断で休業させる場合 |
上記で「支払の義務なし」になっているものでも、自宅勤務など、代替の手段も検討しましょう。
政府の雇用対策と雇用調整助成金等の状況
対象者・事業所数がともに減少
厚生労働省が10月初めに、「休業等実施計画届」(雇用調整助成金等の申請時に事業所が提出する書類)の受理状況を発表しました。
それによれば、8月の対象者数は211万841人となり、7月の243万2,565人と比較して13.2%も減少しました。また、8月の対象事業所数は7万9,922カ所となり、7月の8万3,031カ所から3.7%減少しました。「雇用調整助成金」(中小企業の場合は「中小企業緊急雇用安定助成金」)の利用も、いくらか落ち着いてきたようです。
また、8月における「大量雇用変動届」(会社都合等により30人以上が離職した場合に提出する書類)の届出事業所数は284事業所(7月は251事業所)、離職者数は1万4,550人(7月は1万891人)となっており、こちらのほうは増加しています。
新政権による雇用対策
民主党を中心とする政権に変わり、政府は、鳩山首相を本部長とする「緊急雇用対策本部」を設置する方針を発表し、新たな雇用対策も明らかになっています。
政府は、今後、当面の雇用対策を盛り込んだ「緊急雇用創造プログラム」をまとめる方針を示しており、主な対策としては、「介護分野における雇用者数の拡充」、「公共事業削減に伴う建設・土木労働者の転職支援」、「生活保護の受給促進等の貧困層対策」などが挙げられています。
さらなる雇調金要件の緩和
また、助成金に関しては、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件を緩和する方針も示されています。支給の要件とされている「直近3カ月間の売上高の減少幅」について、現行よりも少ない幅で支給を認める考えです。
企業にとっては従来よりも使い勝手が良くなる改正だといえます。
今後の政策に注目
8月の完全失業率は「5.5%」と過去最悪の水準となりました。企業にとっても労働者にとっても、まだまだ景気は上向いてきたとはいえない状況です。今後、「6%に達するのでは」といった懸念もあります。
そのような状況にならないためにも、企業を支援する助成金の拡充を含め、どのような対策を政府が打ち出し、実行していくのか、注目したいところです。













